とはいえ、そんな本を読んでいない。

 ブログを始めたものの、9月に上海に渡るまでの間、温泉に行ったり、実家に帰ったり、フェスに行ったりするので、今住んでいる下北沢のアパートの明け渡し準備等、いろいろ今のうちにやっておかなければならない。
楽器を大学の後輩に譲ったり、家具家電の処分の手続きを行ったり、意外と時間を費やす。

 そのような状況の中、漸く読了できた本が、小島寛之さんという経済学者の「数学的思考の技術」。
 高校時代、因数分解レベルで挫折し、真っ先に私立文系コースへの道に突き進んだ私にとって、数学は鬼門鬼門。
ところが、この本はタイトルにある通り「数学的思考」について触れるものであって、因数分解、方程式等の数式ズラーっていう数学本でない。
この「数学的思考」とは、普段の生活で起こりうる問題等を簡単な数字や図形を使ったシミュレーションを行い、論理的に考察してみましょう、というものだ。

 例えば、ボーナスについて、社員が仕事に対し怠けず努力するための仕組みであるのは当然かもしれないが、ボーナスに限らず、人に対し本音を言わせるためには高コストがかかる、ということを簡単な数字を使用したシミュレーションにより解明する等、他にも様々な事象について数学的思考により説明をしている。

 途中、著者の経済論がダラダラと続き退屈であったが、最後に村上春樹の小説は、数学をソフトウェアとして機能させているという記載があり、これは興味深かった。
 その内容とは、言葉のみであるにも関わらず、とあるモノや物事等の相互の距離感などが組合わさった空間図形が頭の中に描くことができる、とのことで様々な小説のくだりを引用し説明をしている。
こういうのとか、トポロジーというらしいがちょっと難しかった。

 とりあえず「1Q84」を読んでみたいと思った。

数学的思考の技術 (ベスト新書)

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