言葉の力

 これからは主にここ2、3ヶ月で読み終えた本についての感想文を書こう。
中国に全ての本を持っていく程、バッグに余裕はないので。
 これはある意味、本棚から本を取り出す作業。
ブクログとこのブログが連動すればいいのだが。
とりあえずブクログの本棚のブログパーツをサイドバーに貼付けたので、今後このブログには、「ブクログ更新しましたー」ぐらいの投稿になるかもw。


では、そろそろ本題。


 日常会話にて、「すげぇー」とか「フツー」とか「良い」とか「ビミョー」とか、他人に言われたり、自分が発することもあるけど、こういった形容詞のみで並べられた表現は、心に響かないし、本気で伝えようと思っていない時に使う言葉だと思う(その場がどうでもよい会話モードの時は別として)。
本気で相手に自分の考えを伝えたいと思うなら、「良い」だけではなく、「どうして良いのか」まで説明しなければならないし、また相手に伝わらないため会話が成立しない。

 猪瀬直樹の「言葉の力」、著者は現東京副知事、小泉政権の時に道路公団民営化に携わった人だが、本職は作家。
地球一体化時代(要するにグローバルってやつ)において、上記のような形容詞を羅列する日本人の言語技術を、世界基準である論理性を重視した言語技術によりコミュニケーションができるよう改善していく必要があるとしている。

 道路公団民営化の際の官僚とのやりとり等を例に「霞ヶ関文学」についても触れられている。
前職である公務員を辞める際の、上の人間とのやりとりを思い出す。
 私は有給休暇をほぼ使い切り7月末で辞めたいという意向を持っていたが、「社会的常識」に反するという非論理的な言葉により却下され、結局30日弱の有給休暇を水に流し、6月末で退職することになった。
 その上の人間との退職時期について話し合った際、私はその「社会的常識」について少しでも紐解こうと、
「例えば、夏季休暇と有給休暇を繋げて1ヶ月近く海外旅行に行く人がいますよね。それは当然ながら業務の状態を見て支障にならない時期や範囲で認められているはずです。私の場合は担当している会議や研修の事務がほとんど6月中に終わります。そのことは係長も納得し認めています。何か違いがあるのでしょうか。」
と聞いたところ、
「そんな水掛け論を言ってる場合じゃないんだよ」
とまたも非論理的な言葉で一蹴された。
 出勤最終日、私は捨て台詞代わりにその上の人間にこの本を紹介したが、まぁ読んでないだろう。

 話が逸れてしまったが、この本では読書の重要性についても触れられており、読書は他人とのコミュニケーションであり、また読書は人間の好奇心や感性を刺激し、未知なるものを克服しようという探究心や情熱を育む、としている。
言葉をそのまま引用したくなるぐらい言葉に力がある。
話している時はそうでもなく感じるのは気のせいか。
 ただ、日本人の言語技術(の低さ)について、歴史から説明していたのは圧巻。